序盤で指し手に困ると、歩をどんどん進出させ、それを金銀で支えていくことがあります。
一見すると、自分の陣地が増え、相手の駒の動きを制限できたように思いますが、意外とそれほどのメリットは無いかもしれない、と最近思うようになりました。少なくとも、その後の攻めの計画がないと、かえって危険を招いてしまいます。
将棋には限られた駒しかありません。陣地が増えれば、薄く広く守らざるを得ません。相手も打開を求めてきますから、その際に一点に勢力を集中させてくれば、薄い防壁は容易く破られてしまいます。せっかく広く制圧したと思ったら、かえって大きな危険を招き入れてしまうことになります。
また、自分の駒が上ずるということは、もし相手が持ち駒を得れば、こちらの陣地深くに打ち込む隙ができやすいということです。それが飛車や角であれば、簡単に龍や馬を作られてしまいます。
将棋は、玉を詰ますゲームです。その過程として駒を取り合います。陣地取りゲームではありません。制圧しているマス目が多ければ、多少有利には働きますが、反面、自分の勢力も分散しがちだ、ということです。大事なのは、支配権を握っている空間が広いかどうかではなく、相手玉に届く有効なマス目に進軍できているかどうか。そんな事を意識しながら、最近対局に臨んでいます。