永瀬拓矢『永瀬流 負けない将棋』

1級への技法

2024年9月に読んだ本は、永瀬拓矢『永瀬流 負けない将棋』(マイナビ、2012年)です。

私が5級の頃、2年近く前に購入して、途中まで読んでいた本です。当時は難しく感じて、途中で読み止めてしまいましたが、今月に入って読了しました。会話調になっていて、惜しみなく方針を語ってくれていますので、今となっては読みやすい本だなと感じました。

購入した当時の私は、受け将棋が基本、というか、攻め方がまったく分からず受け身の将棋でした。開き直って、受けきってしまえばよいとも考えていた頃です。勝てなくてもいい、負けなければいい、そんな一縷の望みを託して、本書を手に取ったような記憶があります。

本書は、永瀬先生の対局の中から、自分がやや不利か手に迷うような局面を解説しています。いわゆる次の一手本は、どちらかと言うと、有利になる局面が待っていますが、本書は逆。不利な局面から、どのように凌ぎつつ、局面を打開できるか、優勢まで運べるかという視点です。巧い手、凄い手をさすのではなく、じりじりじりじり良くしてゆく。タイトル通り、勝ちやすさを目指すというより、負けにくさをまず目指すスタイルです。

将棋は、辛抱した方が勝つ、と時たま聞くことがあります。私は少しでも不利だなと感じると、大駒を切ってしまったり、いきなり勝負手を放ってしまうことがあります。大いに反省です。本書のような粘りのある一手、諦めない大局観に基づいて将棋がさせたらなと思います。

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