桂馬は、不思議な駒です。
自分自身を守る力は全くないのに、攻撃の起点にも、守りの切り札にもなる。
それでいて金銀よりは大事にされず、合駒によく用いられ、まったく動かさないまま終局をむかえたりもする。
持ち駒に桂馬が欲しい
町道場で6枚駒落ちの指導対局。
こちらの飛車が龍になって、いざ終盤に臨むぞという段階になって、ハタと困ったのは、相手の桂馬と香車がいないことでした。龍で駒得できない。
加えて、龍を作るために、こちらの桂馬や香車、銀を相手に渡していたりもします。
犠牲を払って龍を作りましたが、なんのために龍を作ったのか、果たして得したのか損したのか、分からなくなりました。
そして、龍だけで寄せることは、もちろん難しい。
どうにか迫ろうとしますが、相手玉はすらりすらりと上部に逃げてゆく。
桂馬を使えれば退路をふさげるのに、拠点を作って追加攻撃できるのに、と思いました。
自分がいかに桂馬の力をあてにしていたか分かった瞬間でした。
桂馬を放り込むタイミング
桂馬と言えば「ふんどしの桂」という手筋があります。序盤でそれが決まれば、金銀飛角の駒得となることが多く、効果が大きい。
けれど、中盤・終盤となってくると、桂馬を駒得のために使ってよいのかどうかは悩みます。「終盤は駒の損得より速度」という格言がありますが、桂馬がキーポイントの1つだという気がしています。合駒がきかない唯一の駒だからです。
桂馬に狙われた駒は逃げるしかない。そして、逃げたら逃げたで、その場所に相手駒は踏み込めなくなり、拠点が作られる。
桂馬で王手をかければ、金銀との連結を乱せるのも大きい。退路を塞ぐのにも有効。
拠点作りにぴったりの桂馬。それが終盤、手持ちにあると、寄せるのが楽になると感じています。
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