佐藤天彦『天彦流 中盤戦術』

2級への技法

2023年9月に読了した本は、佐藤天彦『天彦流 中盤戦術』(NHK出版、2017年)です。

序盤で駒組みがおわって、そろそろ中盤。でも、中盤でどうやって攻めたらよいか、リードを奪うにはどうしたらよいかに、私は最近悩んでいます。中盤を解説した棋書は、なかなか存在しないなあと探していたところ、天彦先生によるぴったりの本がありました。

本書は、中盤の序・中・終と3段階にわけ、豊富な事例で解説してくれています。NHKの将棋講座に加筆修正してあるとのことで、初級者の私にも分かりやすかったです。

本書で私が学んだのは「どうやって攻めたらよいか」の手筋・戦法ではなく、「今が攻めるべき時なのか」という視点です。

サブタイトルにもある通り、「『局面の推移』と『形勢』で読みとく」のが本書の主眼です。

「駒の損得」「駒の働き」「玉の安全度」「手番」の4つの基準のうち、3つ以上を満たしているならば、攻め時。そうでないならば、もう少し形勢を整えてから、ということを学びました。むやみやたらに攻めればよいわけではない。焦って攻めれば、カウンターをくらう可能性もある。その当たり前のことを、明確な基準で判断しようということです。

本書で面白かったのは、自分の形勢が良くない時にどうするか、という事例です。

辛抱して攻めの手番が回ってくるかどうか、攻防手を打てるかどうか、相手を惑わせる一手を指せるかどうか。けれど、取り上げられている事例の中では、相手が良い手を指し続けるならば、こちらがどう指そうが、なかなか挽回できないことも多いということです。プロでもやはり形勢が傾きだすと、逆転するのは難しいのだなと知りました。

けれど、アマチュア同士の対戦ならば、プロよりは逆転の可能性がきっとあるはず。中盤では、急がず、あきらめず、の姿勢で戦ってゆければなと思いました。

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