手抜く

5級への技法

手抜くことを覚えると、棋風が変わると思います。

  • 序盤では、相手の仕掛けや作戦が進行しない。
  • 中盤では、こちらの作戦・攻めが続く。
  • 終盤では、手番がまわってくる、攻守が逆転する。

そういった将棋の局面全体の進行・変化に影響を与えられるように思います。

手抜きの具体例

手抜きは、別の言い方をすると、受けない、相手にしない、スルーする、放っておく、無視する、リアクションしない、放置プレイ、無反応、勝手にして、好きにしていいよ、我が道を行く、でしょうか。

一番分かりやすいのは、相手が歩をこちらの歩に当ててきた時。

相手の歩を素直に取ることもできるが、取らないという選択もできる。取ったばっかりに、相手が絶妙な垂れ歩をしてきたり、桂馬がちょうど良い位置に跳ねて来たりする。だったら、ここはあえて取らない、という選択です。

格言「両取り逃げるべからず」も、手抜きと言えます。

どうせどちらかの駒は取られてしまうのだから、逃げるという手を指すのではなく、この瞬間に、相手がその後でもっと困るような別の手を指せないか考える。

終盤で相手が寄せきて、相手の銀とこちらの銀がぶつかる。

相手の銀をとれば手駒になり、相手もこちらの銀をとって、おあいこの局面。でもさらに相手の攻めは続き、こちらは手駒の銀を使う暇がない。だったら、相手の銀を取るという手の代わりに、なにか別の手を指す。駒損するが、手番を得る、の交換ということになる。

相手の主張につき合うのか

手抜きの本質は、相手の主張につき合うのかどうか、だと思います。

そして相手の主張は、つまるところ、こっちは攻めますよ、あんたは守ってよ、だと思います。

もちろん、それが詰ろや必至になったり、重大な局面になってしまうのならば、付き合わざるを得ませんが、そうでなければ、つき合わない方という選択肢もありうる、それが手抜き。

将棋は往々にして、一度、相手の攻めにつきあうと、こちらはずっと守り続け、そして押し切られるということが少なくないように思います。一度も手番がまわってこない、攻めの一手も指すことができず終わることもある。

だったら手抜いて、逆に、こちらから仕掛けの一手。

手抜いた結果、駒損をするかもしれませんが、次には相手も同じ状況です。こうなると、駒の損得、作戦の妙、寄せの速度が複雑にからんできて、面白い中終盤になる。

終盤こそ、手抜くかどうか考える

終盤こそ、手抜くかどうかは、重要だなと思います。

こちらが勝勢であっても、相手の攻めにつき合うと、そこから猛攻をくらって逆転負け。手抜いて、押し切っていた方が勝利できた、という一局もあります。

もちろん逆に、守りを手抜いたばっかりに、攻めているわけにもゆかなくなり、頓死することもある。

こちらが大劣勢であったとしても、詰めろや必至にならなければ、攻めの一手を指してみる。相手が攻めきれない、速度負けするかもしれないと判断して、守ってくれれば、こちらの手番になる。そこから攻め続けられれば、負けは無くなり、逆転勝利をもぎとる一局もある。

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