終盤になり玉を寄せてゆく場面では、駒を足すことを考えた方がよい、と町道場で教わりました。
たとえば、自玉が寄せられている局面で、こちらの守りの金銀に、相手が攻め駒をぶつけてくる。
相手の攻め駒を取ることもできるが、たいてい、その駒は紐づけられている。だから、相手の攻め駒を取ると、さらに別の攻め駒を呼び込むことになる。自陣内でそのやり取りをすれば、相手に龍や馬、と金・成金を作られる。そのうち王手がかかり一手一手の寄せとなる。
だから、相手の攻め駒は敢えて取らない。その代わりに、駒を足して、取られそうな自分の駒を紐づける。上手くゆけば、駒を取られても、同じ位置に守りの駒が再生し、相手の攻めはそこでいったん途切れる。千日手に持ち込むチャンスもある。
たとえば、相手玉を龍や金銀で寄せてゆく局面で、相手が守り駒をぶつけてくる。相手の駒を取れなくはないが、もし取ったら、きれいさっぱり相手陣内での拠点が無くなり、そこで攻めが途切れてしまうこともある。あるいは、いったん引いて攻め直すのも手だが、きっと相手陣は守りを固めてくる。再び攻め入るには労力が要る。
だから、できるだけ安い駒を足して、取られそうな自分の攻め駒を紐づける。相手陣内でそのやり取りをすれば、と金・成金を作ることができる。そのやり取りを繰り返せば、いずれ相手の金銀は尽きる。そこからは、べたべたと金銀を打ち付けて寄せ切るチャンスもある。
駒を取るより、駒を足せ。
駒を退くより、駒を足せ。
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