最近、攻め将棋を学んでゆく中で、攻めの用語が自分の中でしっかり理解されていないのだなと思うようになりました。
頭の整理のために、自分なりに将棋用語をまとめてみたいと思います。
「囲い」は、玉を金銀等でどう囲うか、守りの構えをどうするかの話。矢倉、美濃囲い、穴熊など数種類ある。名前が付いている囲いは、将棋の歴史の中で、それなりに強固で有効な形として残ってきたもの。AIが好んでつかう新しい囲い方も最近出てきている。
「戦型」は、主に飛車をどの筋に配置して戦い始めるかの話。大きく分ければ、居飛車と振り飛車の2つがある。振り飛車はさらに、三間飛車、四間飛車、中飛車、袖飛車、右四間飛車といった種類がある。端攻めや地下鉄飛車も戦型と言えるかもしれない。序盤で角換わりをするか否かも、戦型の分類指標と言える。駒配置だけでなく、局面の推移を含めれば、持久戦か急戦かも戦い方を大きく区別する指標の1つと言える。
序盤で、守りの囲いと、攻めの戦型を整えてゆくことを、「駒組み」をすると言う。
「手筋」は、駒の特性を活かした技のこと。たたきの歩、垂れ歩、割打ちの銀、ふんどしの桂、十字飛車などなど、数え上げればきりがないほどある。ダンスの歩のように、3手以上の一連の手順をふくめた攻撃法を言う場合もある。こうなると、次の仕掛けに近い。
「仕掛け」は、特定の戦型や局面の中で成立する具体的な攻撃手順のこと。あるいは、広い意味で、どこからどうやって攻めてゆくかの話。
「戦法」は、戦型を整え、手筋と仕掛けによって、大きな戦果を狙う攻撃手順のこと。棒銀や鬼殺しが有名所。手筋が小技、仕掛けが中技、戦法が大技と言えるかもしれない。戦法は、狭い意味では攻め方の話だが、広い意味ではどう守っていかに攻めてゆくかを指すことも少なくない。
「システム」は、囲いと戦法の2面を系統的にまとめた将棋の指し方。攻撃と防御とが緻密に組み上げられた戦い方。初手からの手順、駒組み、相手の出方による対応法まで研鑽されているもの。たとえば藤井システムがこれに当てはまる。単に何々戦法と言い、システムと名付けられていない場合も多い。攻防の一連の流れや分岐まで研究されていれば、ここで分類しているシステムに属する。
上記は、あくまでも自己流の分類なので、一般的な使い方とは違うかもしれません。特に、「手筋」「仕掛け」「戦法」「システム」は、意味が重なり合う面が多く、人や状況によって言葉遣いが変わってくると思います。たとえば「棒銀」は、汎用性の高い手筋とも言えますし、十分に立派な戦法とも言えます。
しかし、こうして整頓してみると、私にとっては分かりやすくなりました。たとえば、「トマホーク」は、戦型とも戦法とも言えますが、自玉の囲い方は自由で様々。なのでシステムではない。トマホークを狙う構えにしただけでは十分とは言えない。単に戦型を整えただけ。その具体的な攻め方つまり仕掛け方を知らないと、本領が発揮できない。仕掛けまで知ってはじめてトマホーク戦法を使いこなせていると言える。トマホーク戦法で戦ってゆく中で、さまざまな手筋を駆使する。トマホーク戦法を最大限に活かせる初手からの手順と囲いがあり、相手の出方も含めて、攻防ともに多岐に深く究めていれば、トマホークシステムとも呼べる。
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