将棋ウォーズで2級に昇級してから約1カ月が経ちました。その原動力は何だったのだろうか、達成率が大きく上がったのは何がきっかけだったのだろうか、と思い返してみました。
私の場合それは、自分の将棋を見つめ直したからだ、と思います。
プロ棋士やアマ高段者から見れば、級位者の将棋など、粗削りで改善の余地がいっぱいあると思います。まだまだ勉強すればするだけ、対策すればするだけ、将棋が素直に強くなる。自分の将棋の良くないクセを見直せば、棋力が大きく上がるように思います。
将棋ウォーズで3級になっている時点で、攻めも受けも基本的な手筋はできているはず。大きな凡ミスはめったにしないはず。指し慣れた囲いがあり、得意な仕掛けも複数あるはず。詰将棋は、基本的な三手詰めなら楽勝で、五手詰めや七手詰めでも少し考えれば解けるはず。それなのに2級の壁を感じ、達成率が上がってゆかないならば、自分の中に変わらない何かがある。それが棋力向上の足かせとなっている。そんな風に思います。
3級の全員に共通した弱点などあるわけがなく、それぞれ固有の課題があるはずです。それを見つけるのが、2級の壁を突破する第一歩ではないかなと思います。もし自分自身で自分の欠点やクセが分からなければ、上位の方に感想戦で率直に聞いてみるのも手段です。具体的な局面と指し手について教わるのも有難いですが、一局全体の感想を聞くのも良い。きっと優しく教えてくださると思います。その課題を1つ1つ見つけ克服してゆくのが、将棋ウォーズで3級から2級に近づく道だと私には思えます。
3級の頃の私には、たまたま自分でも気づける明確な欠点が3つありました。振り飛車に対して苦戦していること。攻めがあまり上手くないのに、強引に仕掛けて無理攻めになりがちなこと。受けなくてもよいのに受ける傾向が強いこと。どれも自分で薄々感じていたことですが、ある時、データ上でもはっきり見えて、そこから意識的に改善に取り組みました。それぞれの対策でプラス0.3級ほど強くなれた。合わせてプラス0.9級分の棋力が上がったという感覚です。
大きな弱点の克服に加えて、2級に昇級するために、あと一押しがあったとすれば、常に相手玉にどう迫るか、その事に以前よりも目が行くようになったことだと思います。
たとえば、馬を作って、持ち駒に桂馬と銀がある。今の私だったら、相手玉を寄せられないかを考えます。これだけ攻め駒があれば、かなり厳しく迫れるはず。その方向でまず攻めを練ってみます。
ただ、3級の頃の私だったら、こちらの馬と相手の飛車を交換していたかもしれません。馬と飛車の交換はもったいないくらいは思っても、さらに持ち駒の桂馬と銀を投入して、相手の飛車を追い続けていたかもしれません。たしかに飛車は重要な攻め駒で、それを奪取できれば勝利が確実になるように思えます。けれど、戦力も手数も、相手玉に響かず、そっぽに行っています。相手玉を本当に追い詰めるまでにまだまだ手数と戦力が必要となる戦い方です。
もし相手がそんな手を打ってくれたならば、今の私だったら、御の字以上だと喜びます。玉周りの金銀をはがされなくてよかったと安堵します。飛車一枚で、相手の攻め駒三枚を引きつけ手数もかけさせたので、飛車は十分な殿を務めてくれたと感謝します。その間にこちらは、飛車の代わりに手に入るだろう駒を見込んで、攻めに手数をかけ、相手陣に迫れないかを考えます。たとえ飛車を取られても、こちらが一手勝ちできればいい。そういう道筋を探りたい。
大局観とか構想というには少しおこがましいですが、そういう大きな視点に立った駒の使い方が、3級と2級の決定的な差かもしれないと今は想像しています。つまるところ、将棋は相手玉を先に寄せた方が勝ち。その究極の目的、絶対のルールにどれだけ有益かで全ての手を考える。終盤は駒の損得より速度とはよく聞きますが、中盤以前でも勝利に真っすぐつながる良い手かどうかは問われる。そんな優れた手を実際に打てるかどうかは別として、その視点を強く意識するように少し変われたかなと思います。
今の私の対戦相手は、初段、1級の方々です。お互いに大きなミスはなくても、一手一手の厳しさと速さがちがいます。そのちがいから徐々に形勢が傾き、そしてある時、急に、取り返せないほどの優劣の差となるのです。相手の指し手は、どうしてこうもビシバシと急所に届くのか。ここから先は、大きな弱点の克服というより、攻めの鋭さが課題なのかなと現時点では感じています。
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