自分の主張だけ押し通すことはできない

1級への技法

将棋を指す上で最近気をつけていることは、自分の主張だけ押し通すことはできない、ということです。

自分だけ攻めの準備をどんどん進めて、先に仕掛けてゆく。先手先手で攻めているので成功しそうですが、これがなぜか上手くゆかないことが多い、と気づきました。囲いの整備が疎かになるとか、攻めの過程で駒を渡して反動がきついとか、そういうことでは無く、大した戦果をあげられずに終わるのです。

どうして上手くゆかないのかなと振り返ってみると、そういう攻め方をしている時は、独善的に読みを進めているのではないか、と思い至りました。

それに対して、相手の方は、こちらが何を狙っているのか、何を犠牲にどんな戦果をあげようとしているのか、それを読んで、こちらの攻めを受けとめている。私の方は、相手の駒の動きだったり、狙いだったりを全く読んでいないに等しい。この駒をこう攻めれば、相手はこうせざるを得ないはず、それから、次にこう仕掛けるぞ、といった風に、どんどん攻めの手だけを勝手読みの先読みをする。

そして、そんな読みの時には、こちらは大きな犠牲を払うことを、本当には計算に入れていない。自分だけが結果的に良くなる方向で、局面を考えている。もちろん、そうなるに越したことはないが、将棋というゲームの性質上、棋力の大きな差がない限りは、普通は上手くゆかない。

私の駒の進め方と読み方は、私の独りよがり。相手の方は、私の主張が存在することを認め、それから手を考えて、駒を対応させる。時に駒損することも受け入れて、それでもなお、局面をどうするかを考えている。どことなく、わがままな子供と、冷静で優しい大人との差のようです。

棋は対話なり、という格言がありますが、それに通じる話かもしれません。

こちらにはこちらの狙いや主張がある。

相手にも相手の狙いや主張がある。

自分だけ主張を押し通すことなどできない。

相手の主張が危険な芽になりそうなら、しっかり対応して受けとめる。

時には相手の主張を認め、こちらは犠牲を払うが、その代わり、こちらの主張も通させてもらう。

ギブ・アンド・テイクではありませんが、互いの主張を譲り合って、結果、どちらが先に相手玉に手が届く、厳しいものになるか。将棋はそんなゲームだという気もしてきました。

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