最近、攻め将棋に励んでいますが、ほとんど上手くゆきません。
どうして上手くゆかないかというと、自分なりに試しているからだ、と、ある時ふいに気づきました。級位者が考えた攻めなど、早々上手くゆかないし、戦果も大したことはないのです。
定跡書や戦法書を読めば、最初の攻め口は書いてあるものです。囲い方と同じように、仕掛けにもいくつかの定番があります。先人たち、プロたち、アマ高段者たちが、こうすれば上手くゆく、技がかかる、という手筋をすでにまとめています。その時に相手がどう受けてくることが多いか、自分はどう変化させてゆくか、まで解説していることも多いです。
たとえば、棒銀は、完成された仕掛けの1つです。もちろん、龍を作れて、敵陣瓦解して、大成功とはなかなかなりません。銀交換にとどまることも多いです。でも、持ち駒となった銀をどう使ってゆくか、次の攻めのパターンはなにか、といったことも、既にある程度まとめられているのです。
料理のレシピと同じように、将棋の戦い方にも定型がある。料理で自分なりにアレンジしてもいまひとつの味になってしまうように、将棋の仕掛け方も自分流でやってはなかなか上手くゆかない。初心者はレシピ通りに料理するのが良い。将棋はまず定跡通りに攻めてみるのが良い。
攻めの初心者だった私は、そのことを学ぶべきでした。
さっそく、仕掛けのパターンを2つ3つ覚えてみて、対局に臨んでみます。定跡書に、ここの歩を突いて、銀をこの位置に待機させ、そして桂馬を跳ねる、といった風に書いてあれば、一手一手その手順通りに指してみる。級位者同士の戦いなので、なんと5回に1回くらいは、定跡通りに上手く局面が運んでしまうのです。自分でもびっくりしました。攻め方に悩んでいたのは何だったのかと反省しきりです。
もちろん、こちらの仕掛けに相手が上手く対応してきて、陣形を乱す程度にとどまることも多いです。中盤以降は、定跡書にも書いていない局面になります。そこからは自力が問われます。でも、最初の攻撃は、定跡通りにやってみる。仕掛けの引き出しが多ければ、いろいろな戦型、局面にも対応しやすくなる。そんな戦いの基本に、ようやく気付いた最近の私でした。
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