快勝譜が会心譜ではない

2級への技法

将棋を振り返るときに、ついつい自分が快勝した棋譜ばかりを見てしまいます。お気に入りに登録してある私の棋譜は、そういう対局がほとんどです。大技が決まったり、両取りが決まったりして、完勝した棋譜は、振り返っている時も気分がよいものです。

けれど、ある日ふと思ったのは、このような棋譜を見ていて将棋が強くなれるだろうかということです。そういう対局は、自分の読みが深く優れていたというより、たまたま、相手が受け間違ったり、知らない仕掛けだったりしただけ、ということが多い。初心者を相手に勝って嬉しいかというとそうでもない。なにか新たに学ぶ事があるかというそうでもない。快勝譜というのは、それに似たものがあるという気がしてきました。

そんな自己満足の棋譜よりは、とても際どく一手勝ちできた対局であるとか、優勢だったはずなのに逆転負けを喫した対局であるとか、一見して何で勝ったり負けたりしたのかよく分からないような対局である等の方が、得るものが少なくない。

どこで形勢に微妙な差がついたのか。なぜそのリードを保つことができたのか。あるいは、逆転のきっかけとなった一手は何だったのか。諦めずに粘れた要因は何だったのか。実力や形勢が拮抗する対局の中で、わずかに垣間見える、その揺らぎこそが、本当に学ぶべきことだと、最近強く思うようになりました。

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