桐山清澄『アマの将棋ここが悪い! (1) 序・中盤の急所』

5級への技法

2024年11月に読了した将棋の本は、桐山清澄『アマの将棋ここが悪い! 1 序・中盤の急所』(創元社、1999年)です。

桐山先生のお名前は、豊島将之九段の師匠として耳にしていました。私の中ではなんとなく、堅実で王道の棋風というイメージです。アマのここが悪い、といったタイトルの棋書を、一度読んでみたかったというのもあって、本書を手に取りました。

タイトルも装丁も昭和な感じがしましたが、出版年の1999年は平成11年でした。インターネットが普及し始めた時期ですね。いつ頃からか、将棋本も昭和なイメージから脱却し始めたのでしょうか。

それはさておき、本書の想定読者としては5級前後でしょうか。3級くらいの棋力があれば、わりとすんなり正解できるように思います。

序中盤のポイントの網羅的なカバーを目指した本ではなく、次の一手形式の問題を通して、将棋にとって大事な考え方を学ぶ、といった観点で書かれていると思います。問題に対して、正解を示す前に、良くない手を2つほど丁寧に解説しています。悪手や疑問手ではないけれど、得をしているわけでもない、そういう手です。そういう意味では、アマのここが悪いという点をずばり挙げているわけではありません。

けれど、何でもなさそうに見える局面でも、相手の隙を見逃してはいけないよ、ここで得ができるよ。場合によっては、大技が決まるよ、と正解を示して教えてくれます。垣間見えるチャンスを奪いにゆけない点、それがアマの悪い点だ、ということなのかもしれません。

将棋は、戦力が互角で始まります。ほんの少しのリードでいい、それを積み重ねてゆかないと勝ちにつなげられない。そんなチャンスは、序盤や中盤でもあるよ、という問題が本書には入っています。そういう心構えを再認識できて良かったです。続編、中盤・終盤編もあるので、それも近々読んでみたいと思います。

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