最近、玉の囲いで「右玉」を覚えました。
私は居飛車なのですが、飛車が使えていない、右桂馬が使えていない、と悩んでいました。
初めから右玉を覚えようとしたわけではなく、桂馬をとりあえず跳ねる、銀で桂頭をカバーする、飛車を下段に構える、としていったところ、自然と右玉に近い構えになりました。
棋風と囲い
私には特にこれといった得意戦法はなく、じっくり受ける、相手の隙を伺う、という戦い方になりがちです。そんな私と右玉はよく合っているのか、右玉を使い始めてから、少し強くなったかなという感覚があります。
私の右玉の場合、飛車と右桂馬は、結局のところ、攻めにはなかなか参加してきません。どちらかと言うと、防御・牽制の役目を担っています。けれど、飛車や右桂馬が初期位置にいてあまり役立たないよりは、使い方が増えました。働いていない駒だった2つに、働きが期待できる状況にはなったのです。自分の棋風に合う囲いというのもあるのだなと思いました。あるいは、これを駒の捌きというのかもしれません。
右玉に構えた後、さらに飛車や右桂馬を動かすのは、局面をどうしても打開したい場合、つまり、伝家の宝刀を抜くような感覚があります。そこから局面は一気に動き出します。
右玉のメリット・デメリット
右玉の特徴を挙げると次のようなものでしょうか。
- バランスの良い布陣で、相手駒の打ち込む隙がほぼ無い。半面、堅さに欠けるので、激しく攻め合うには心もとない。中央付近でじっくりした戦いになりがち。
- 意外と、相手がどんな戦型でも対応できるように思います。
- 相手が居飛車かつ居角だと戦いやすいように感じます。相手の狙い筋が、自玉とは逸れている、遠いからです。
- 局面により、2枚の金の配置を変え、守り方を変えられる。ただ配置を変える必要性があるほど、自分が受けにまわってしまっている状況、相手が攻め入ってきてしまっている状況とも言える。
- 1筋2筋の攻めに弱い。特に、飛車が2筋から移動したり、下段から上がってしまうと脆い。ただ仮に崩れても、自玉が左側へ早逃げする余地もある。
- 下段飛車で攻め筋を変えられるが、強力な突破力があるわけではない。牽制くらいの効果しかないことが多い。どちらかと言うと、飛車は2筋にでんと構えてくれていた方が、終盤に役立つ。相手陣が薄くなれば龍に成れたり、相手玉が左に構えていれば上部脱出を防いでくれている。
- 右銀と右桂馬は、防御の駒です。そこを相手は狙ってきますが、コンビネーションがよいのか、意外と崩れにくい。右銀と右桂馬を攻めに用いることもできるが、そこからは攻め切る覚悟が必要です。玉の守りが金1枚になるからです。
- 飛車を振って攻め筋を変えることができる。けれど、居飛車でそれをするくらいなら、始めから振り飛車・美濃囲いを採用してしまった方がよいのではないか。その方が駒組みが早く、囲いも堅いように思う。
積極的に駒交換
右玉を採用するようになって、飛車や右桂馬の悩みが少し解消されました。
けれど、今度は、左側の角金銀桂でどうやって攻めてゆくか。また、飛車の突破力無くしてそれができるのか。結局のところ自分から攻め・仕掛けをすることができず、カウンター狙いのままなのではないか。そんな別の悩みが出てきてもいます。
打開策の1つは、相手陣に隙があるならば、自分から積極的に駒交換を持ち掛けることです。こちらは守りの駒が散らしてあり、かつ下段飛車なので、相手からの打ち込みにはわりと強い。角銀桂を2枚以上交換すると、相手陣を直接かき乱すことができることが増えました。
駒をじっとさせて置くのではなく、働かせてゆく。駒をさばいてゆくということ、自分の棋風を活かす戦い方があるということが、少し分かった気がします。