2024年3月に読んだ本は、藤森哲也『将棋放浪記から学ぶ 最速! 最短! わかりやすい将棋の勝ち方』(マイナビ出版、2021年)です。
人気YouTubeチャンネル『将棋放浪記』から選び出された次の一手本です。
『将棋放浪記』は、藤森先生が将棋ウォーズでアマチュア棋士相手に対局する実況動画です。プロ棋士なのだからアマチュアに勝って当たり前じゃないか、どうせボコボコに倒すだけでしょう、と将棋を始めて1年くらいは思っていて、チャンネルをまったく見ていませんでした。それよりは、アマチュア高段者の動画の方を見ていました。けれど、ある時、『将棋放浪記』を見て、そこからはまってしまいました。今では毎日の楽しみの1つです。
アマチュア高段者さんの動画では、迷いながら指したり、負けてしまう対局も少なくなく、見る分には楽しいのですが、参考になるかというと、少し判断に迷います。私の実力がもう少し上がってくれば、よく理解できるようにはなると思うのですが。
その点、『将棋放浪記』は、勝つのが基本で、その駒運び、手筋がストレートに参考になります。もちろん将棋の王道、基本的な考え方、攻めや守りのコツも詳しく解説してくれています。藤森先生のお人柄、楽しさもあふれていて、テーマに掲げている通り、「見るだけで将棋が強くなる」気がします。
本著は、そのチャンネルの中から、居飛車や振り飛車、奇襲戦法を問わず、さまざまな戦型・局面を取り上げています。それほど難しい問題はなく、基本的には上級位者か初段くらい向けだと思います。
ただ、アマチュア高段者(三段~五段が多い)に対して、このあと一手で優勢か勝勢になる局面になっているのが凄い。本当に学びたい、吸収したいのは、どうしたらこの局面まで持ってゆけるのか、という気もします。動画を見る限り、丁寧に堅実に駒組みをしているだけなのですが。さすがプロ棋士としか言えません。