先月、『将棋ウォーズ』のスプリントで100局以上、戦ってみました。
本当はそんなに対局する気はなかったのですが、スリリングな対戦が面白すぎて、自分でなかなか歯止めが掛けられませんでした。合宿のように、休みの2日間、戦い続けました。
スプリントモードは、中終盤の力を鍛える良い訓練になると感じています。勝負の前半で、圧倒的な優勢か、あるいは逆に敗勢になってしまうのが、級位者の将棋の多くだと思います。ほぼ互角の中終盤を練習する機会は、級位者にとって貴重です。
実際、数をこなせばこなすほど、私の勝率は良くなっていきました。最初1割台だったのが、最後の方は5割近くまで上昇しました。スプリントモードには最初の10秒間、形勢判断をする時間がありますが、それも少しずつ読むスピードが上がっていった感覚です。ぱっと見で、これは勝てそうな局面だとか、いったん受けに専念しないと詰んでしまいそうな局面だとかをいくらか感じられるようになりました。
終盤力を鍛えたいと思っている方には、一度、集中してスプリント対局をこなすのをおすすめしたいです。毎日3局ずつとかではなく、一時期に数十局を集中させる、で得られるものもあるように思います。
開始局面にかかわらず、3通りの戦い方も試してみました。「攻めに専念する」「受けに専念する」「入玉を目指す」です。それぞれ10局、20局、連続して対局することで学ぶ事も多かったです。特に、攻めが弱い私にとっては、自陣を顧みず、ただひたすら攻めだけを考える、という思考訓練は大いに役立ったように感じます。
3つの戦い方のうち、相対的に戦績が悪いなと思うのは、やはり受けに専念することです。相手の攻めを受け潰すのは、理論上不可能である場合が多い。特に、歩、桂馬や香車は一度、マスを上がってしまうと、もう二度と受けには効きません。どこかで、方針を切り替え、攻めの方に目を向けなれば、その将棋には負けが待っているだけです。それを嫌というほどスプリントモードでも学びました。
粘り強い戦い方をしたければ、底歩(底香車)がすこぶる有効だと言うのも体験できました。たった1手かけただけですが、感覚的には相手の攻めが3手以上遅れる感じがします。
私が最終的に辿り着いた、スプリントモードへの対局姿勢は、双玉詰将棋を解いている、です。
詰みがあると思って、まずは、相手玉に迫ってみる。その形がぼんやりと見えたならば、その前段階の囲い崩しに取り組んでみる。
もちろん、自玉が詰んでしまっては話にならないので、そこはきちんとケアする。ただ、決して守勢ではいけない。自陣は、相手玉を詰ませる間だけ持ち堪えてくれればいい。
詰将棋なので、どこかそっぽに駒を打ち放つことはありえません。持ち駒を増やすことも二の次です。いつも相手玉に向かうことだけを考えて、攻め駒たちは動いてゆきます。
当たり前と言えば当たり前の将棋の戦い方でしょうが、それを徹底しないとスプリントモードでは勝てません。そして、明確な寄せの形と、正確な手数まで読めるようになるならば、これを速度計算と呼ぶのだろうなと思っています。
そうした思考方法が、通常の対局でも、良い影響があったかなと思う最近です。
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