谷川浩司『谷川浩司の戦いの絶対感覚』

1級への技法

2024年11月に読んでいる将棋の本は、谷川浩司『谷川浩司の戦いの絶対感覚』(河出書房新社、2003年)です。

本書は、最強将棋塾シリーズの中の一冊です。このシリーズの中には「戦いの絶対感覚」とタイトルの付く棋書が他に三冊あります。森内俊之、羽生善治、佐藤康光の各先生による著作です。錚々たるメンバーですね。私はこれら4冊買い揃えてあります。現時点では新刊や電子書籍は出回っておらず古本でしか入手できないためです。いつか、よく理解できる棋力になったら読みたいな、と保管していました。

現在の私の棋力は、総合的には2級ですが、終盤力は5級あるかないかだと思います。まだまだこのシリーズを読むための棋力には達していないと思いつつ、谷川先生の本書を読みだしたのは、終盤力を鍛えたいと、このところ切に思っているからです。終盤と言えば、谷川先生。我流で下手なクセがつくまえに、最高峰の正統な考え方にふれたいと思いました。

本書は、序盤・中盤・終盤に分かれています。50のテーマ図をもとに、どのように形勢判断しているか、候補となる読み筋はどんなものか、何を判断基準として指し手を選ぶか、といった事を解説しています。読み筋はもちろん多岐にわたりますが、谷川先生が分かりやすい言葉で補ってくれますので、私のような棋力でも読み進められています。その点はほっとしました。

ただ、内容は、私の知らない世界でした。プロやアマ高段者というのは、こういう視点で将棋を見ているのだなと圧倒されます。目先の小さな事を見つめたり延々考えたりしている自分とは全く違いました。生きるか死ぬかというぐらいの気概で、将棋の勝つか負けるかを怜悧に判断している。谷川先生はその鋭い終盤力が高く評価されますが、それはぱっと天才的に手が閃くだけでなく、きちんと系統立てて広く深く読んでいる賜物なのだとも知り得ました。本来は秘密にしておきたいその戦いの感覚を言語化して披露してくれています。そんな視座を少しでも本書から吸収してみたいです。

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