最速の寄せこそ安全

2級への技法

将棋の格言に「終盤は駒の損得より速度」がありますが、その格言は、私の中で基本的にはそうらしいよね、という程度の認識でした。

最近、互いに厳しく攻め合い、どちらが先に相手玉を詰ませるかの勝負が増えてゆくなかで、その格言が頭の理解ではなく肌の感覚としてじわじわと身にしみてきました。

こちらが優勢で終盤を迎えた対局がありました。私は、激しく駒をやり取りするよりは、安全・確実に行こうと駒を配置してゆきましたが、やや遅く緩かったようです。その途中で、相手の方に優れた攻防手が出ました。せっかくの私の優勢は無くなってしまい、結局、駒をぶつけあって切り合う、際どい最終盤となってしまいました。これならば、最初からどんどん切り込んでいった方が本当は安泰だったと思えるほどでした。

安全・確実に行くという考えも悪くないと思いますが、それは手数が増える方向にゆきがちです。級位者は中盤以降、最善手を指せる確率は、50%以下ではないでしょうか。すると、長引けば長引くほど、確率的には、最善手ではない手を打ってしまう可能性、場合によっては悪手を採用してしまう可能性が高まります。相手の方にも、攻防手が出る可能性を与えてしまいます。

こちらは一手も緩まずに最速で攻め続ける。多少の駒損でもかまわない。相手は受け一方になる。詰将棋の世界のように、ただただ、相手玉を追い詰める。それこそが一番安全。将棋は終局となるまでは何が起こるか分からない。決着がつかない限りは、絶対の安全など無い。

私の中ではまだまだ、安全に勝ちたいという恐れを払拭できていません。将棋の終盤では、最速こそ至上価値という信条が確立されていません。

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