2025年1月に読んでいる将棋関連の本は、島朗『島研ノート 心の鍛え方』(講談社、2013年)です。
島先生は、現九段で、初代竜王のベテラン棋士です。伝説の将棋研究会「島研」を主宰者したことでも有名。島研には、十代の羽生善治、森内俊之、佐藤康光の三先生が参加されていました。
将棋は、基本的に理詰めのゲームなので、読みの正確さ、深さ、早さ、あるいは手筋や仕掛けの知識量が大きくものを言います。とはいえ、対局にのぞむ心の在り方、精神の強さといった面も、少なからず影響するよなとも思います。トップ棋士はどのようなメンタルを持っているのか、あるいは、鍛えているのかを覗きたくて、本書を手に取りました。
本書は、基本的にはエッセイです。リーグ戦やタイトル戦、島研のエピソードを交えつつ、将棋に対してどのようなスタンスで臨むのが良いかを語ってくれています。随所に参考になる言葉が散りばめられていて、ずばりの棋書ではありませんが、将棋を指す上で学ぶ事が多々ありました。
今の私にとって印象に深かった3つの言葉をここに記しておきたます。
「メンタルも技術のうちだ」(36頁)
「一人で自分の将棋や棋譜を調べたり、読む訓練をしたり、気になる局面を深く悩んだりすることをせずに、棋力向上など望むべくもない。」(67頁)
「終わったらすぐに切り替え、また次の勝負に挑む姿勢。負けることも将棋の大きな一部と考えた時、これが長く将棋を上達する上で、いちばん重要なポイントである。」(208頁)