銀損すると勝敗がほぼ決すると聞いたことがあります。アマチュア同士の対戦では、終盤までまだまだ分からない面もあるかもしれませんが、実感としては納得です。かなり優劣がついてきたなと思います。
将棋で形勢判断、駒割りをする際に、駒に点数を付けることがあります。谷川十七世名人はかつて、次のように駒に点数を付けたと聞いたことがあります。
飛:15点
角:13点
金:9点
銀:8点
桂:6点
香:5点
歩:1点
(成駒は、龍17点、馬15点、成銀9点、成桂10点、成香10点、と金12点)
これを基に、銀損の状況を分析してみたいと思います。
初期状態では各々、合計93点を保有し、かつ、駒全てが盤面に配置されています。
これに戦力二乗の法則も考慮して、各々の戦闘力を93×93=8649ポイントと仮定します。
駒の働きや囲いの強固さ、持ち駒か否か等が関わるので一概に言えないと思いますが、以下、数字の遊びとして話を進めます。
もし銀損が発生した場合には
劣勢側: 駒合計85点、戦闘力7225ポイント
優勢側: 駒合計101点、戦闘力10201ポイント
となります。
7225対10201を、AIの形勢判断風に表現すると、劣勢側41%:優勢側59%といったところでしょうか。形勢がすごく傾いたとまでは言えません。数字上は諦めるにはまだまだ早い。とはいえ、優劣が出始めた段階に入ります。どこかで一手逆転があるのも将棋ですが、勝負の流れが一度傾きだすと、なかなか戻すのが難しいのも本音です。
銀損をしたら、直ちに囲いを強固にし、遊び駒を活用して、駒損を紛らすのが大事ですね。もし取られた銀が活用されず駒台に置かれたままであるならば、
劣勢側: 駒合計85点、戦闘力7225ポイント
優勢側: 駒合計93点、戦闘力8649ポイント
形勢判断: 46%対54%
となります。
形勢互角の範囲となっています。
優勢側は、相手に攻勢の隙を与えず、取った銀を存分に活躍させるのが肝要だと言えます。そうしないと、せっかくのリードを活かせません。駒台の銀は、潜在的な戦力に過ぎないとも言えるからです。
ちなみに、一歩損は、
劣勢側: 駒合計92点、戦闘力8464ポイント
優勢側: 駒合計94点、戦闘力8836ポイント
形勢判断: 49%対51%
となります。
一歩損は、この計算上ほぼ互角ですが、実感としてはもう少し不利になった感があります。計算が実態から遠いのか、それとも、一歩損への思い込みでしょうか。
他によくある局面としては、龍を作られ、桂馬1つと香車1つを取られた、という状況です。こうなると、
劣勢側: 駒合計81点、戦闘力6561ポイント
優勢側: 駒合計107点、戦闘力11449ポイント
形勢判断: 36%対64%
となります。
個人的にはもう勝ち負けはほぼついたという気がしますが、数字上はまだまだ戦えなくはない。強固な囲いであれば、龍が活躍せず、逆転のチャンスがあるかもしれません。
そうは言っても、この局面の後ではたいてい、囲いの金銀のどちらか1枚を剥がされてしまいます。もし銀を剥がされると、
劣勢側: 駒合計73点、戦闘力5329ポイント
優勢側: 駒合計115点、戦闘力13225ポイント
形勢判断: 29%対71%
となります。
こうなると、勝敗がほぼ決して来たと数字上は言えそうです。