詰将棋的な思考

3級への技法

最近の対局で、相手玉を寄せにゆくとき、銀のタダ捨てをしました。局面と、自分の持ち駒と、相手の持ち駒とを確認したのは一瞬だけ。思わずそう指してしまったのですが、それが最善だったようです。自分でもびっくりです。

私は最初、詰将棋はパズルのようで好きではありませんでした。その後、勉強だとわりきって始め、慣れてくると楽しいと感じました。一時期、毎日しっかり問いていましたが、七手詰めがいくらか解けるようになった段階で、空いた時間に時々肩慣らしをする程度になっています。

その銀のタダ捨ては、もし詰将棋に慣れていなかったら、思いつきもしなかっただろうなと思います。詰将棋が大好きまでゆかなくても、詰将棋的な思考に触れておいてよかったな、寄せの段階では役に立つのだなと思いました。

将棋は基本的に、駒を損することは悪手です。相手の金銀を剥がしてゆく段階でも、極力、安い駒からぶつけます。ところが、詰将棋では、駒損を敢えてするところから入るケース、場合によっては大駒を切るところから始めることも少なくありません。また、相手の駒を取ってゆくのも将棋のセオリーですが、寄せの段階では、相手駒を無暗に取らない方がよいケースもあります。相手駒が、相手玉の逃げるマスを制限してくれる面があるからです。この2つは特に、序中盤の将棋感覚にどっぷりつかっていると、その道筋がまったく見えないことがあります。

終盤は、駒の損得より速度と言います。相手玉を詰ますために、相手に手番を渡さなければ、何をしてもいい。駒損でもOK。将棋の指し方がまったく変わるのです。いえ、むしろ思考を変え、相手玉を早く詰せてゆくことだけを見つめてゆかないと、自玉が危なくなってしまうかもしれません。

詰将棋をたくさん解いても、序中盤が効果的に強くなるようには、私には思えません。それは戦い方の作法が違うからです。将棋の最終盤では最終盤なりの視点があり、それを身に付けるためのショック療法的な練習が、詰将棋だと最近思っています。

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