なぜ将棋の初心者に、振り飛車の戦法がおすすめなのか

13級への技法

いろいろな棋書やブログ等で、将棋の初心者におすすめの戦法(戦型)として、振り飛車が挙げられていることが多いです。振り飛車にも中飛車、四間飛車、三間飛車など様々ですが、とにかく居飛車よりも振り飛車が推奨されていることが多い印象です。

理由の1つとして、振り飛車は、攻めのゾーンと守りのゾーンが分かれている点が挙げられています。陣形の右側に玉と囲いがあり、左側に飛角がそろっています。戦場となる範囲と、守りの範囲がはっきりしています。

それを言うならば、居飛車もわりと、攻めと守りのゾーンが分かれています。玉は左側に囲い、その反対方向に飛車が元々居ます。角行は最初、左側に居ますが、適宜動かすことも少なくありません。なので、振り飛車の特徴である攻守ゾーンの分離は、振り飛車だけの特徴ではないと思います。

初心者に振り飛車が推奨される理由として、私なりに思い当たるのは、片美濃囲いがとにかく優秀だからです。これに尽きるような気がします。

片美濃囲いは、初心者でも覚えやすい陣形で、そこそこ固い。横からの攻撃に強いというのが魅力で、もし相手が飛車をなりこんできても簡単には総崩れにならない。最強の攻め駒である飛車・龍王にも耐性があるというのは、すこぶる負けにくいと思います。私も、せっかく龍を作れたのに、これからまだまだ美濃崩しの一幕かと思うと、気が重くなる時があります。

もし持久戦になったとしても、囲いを美濃囲い、高美濃囲い、銀冠などにも発展できる。片美濃囲いには進展性も備わっています。初心者にはそこまで求められませんが、上達してゆく中で覚え、局面に応じて囲いを強化しやすいのは心強い。

そして、片美濃囲いは、手早く組めます。それは自分から攻め始めるチャンスが増えるということです。将棋はやはり攻めた方が有利になりやすいと思います。

初心者には、まず玉を囲うことが推奨されます。それを片美濃囲いであれば簡単に成し遂げられる。しかも守備の好条件を備えている。囲いが組み上がれば、攻めに専念できる。攻めていた方が、将棋は勝ちやすいし、なにより楽しい。だから、初心者には振り飛車がおすすめなのだと思っています。

【関連】

飛車を振ってみた、其の二

美濃囲いと手数

あらきっぺ『現代振り飛車の絶望、そして希望』

タイトルとURLをコピーしました