金子タカシ『寄せの手筋200』

5級への技法

2023年7月に読んでいる将棋本は、金子タカシ『寄せの手筋200』(2010年、浅川書房)です。

いろいろな将棋ブログで、良書・必読書として推奨されていて、読んでみようと思いました。

正に、それにふさわしい内容です。

難しい詰みより、易しい必至

『寄せの手筋200』は、必至を中心とした寄せの問題集です。

頭金の形から始まり、挟撃、角行、飛車、退路封鎖などとつづきます。寄せ・必至のパターン毎に章立てられているのが、まず分かりやすい。

それぞれの章は、簡単な必至の形から始まり、徐々に難しい・長い問題が取り上げられゆきます。初心者・初級者でも順を追って学べるようになっています。

「難しい詰みより、易しい必至」と言われますが、相手玉を包むように寄せていった方が、つまり必至の形に持っていった方が、特に初級者にとっては、遅いようでいて、確実で、速い。

初心者のうちに、王手ではないが、厳しい攻めの形として必至がある。その存在を知っておくこと、その基本くらいは身につけておくこと、それは大事だと思います。

その形を見えるように手助けしてくれるのが、『寄せの手筋200』です。

王手は追う手

思えば自分も、王手王手と迫って、相手玉に上部脱出されてしまうことが多々あります。

王手をかければ、こちらにもう一度、手番が回ってくるので、なんとなく指したくなる。けれど、それで綺麗に寄せられたかというと、そうでもない。

もし10回寄せのチャンスがあったとして、今の私の棋力(5級程度)だと、次のような分布になります。

  • 相手がまずい受けをしたので、簡単に詰んだ(1回)
  • いわゆる詰将棋の形ですんなり詰めきった(1回)
  • 必至の形や、相手玉を囲いこむように寄せきった(1回)
  • 王手王手で上部に逃げられた(2回)
  • こちらの攻めが続かず、相手に守られきられて、引くしかなった(2回)
  • 相手の方が一手先に勝ちきった(1回)
  • 制限時間切れで負けた(2回)

こうして振り返ってみると、寄せの力が足りないと、勝率で10%近く落としてしまっているような気がします。つまり寄せの力がアップすれば、あと1級は上がる見込みがありそうです。

有段者のブログで、『寄せの手筋200』で学び直すぞ、と記されていたことがあって、繰り返し繰り返し、読み返すのが大事なんだなと思いました。

筋肉は一晩ではつきません。筋トレを続けて、徐々につけてゆくしかない。将棋の寄せの力も、それと同じようなものでしょうか。有段者さんでもそうなのですから、初級者の私も寄せの強化を続けてゆきたいなと思います。

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