私の敗因の1つは、無理攻めです。
大成功とは行かないだろうなと分かりつつも、それしか仕掛ける筋が思いつかず、挑んでみたところ、やはり玉砕。
仕掛けの基本的な条件を満たしつつも、気になる相手の駒の配置があって、それが後々効いてきて、失敗。
相手陣をかなりかき乱すが、最後の寄せまでイメージできておらず、攻めが途切れて、カウンター。
そんな無理攻めです。
将棋の定跡書・研究書では、「3二金型」とか「5四銀型」「4一玉型」などと章立てが区分されていますが、最近になるまで、そのような配置を気にする意味が、いまひとつ腑に落ちていませんでした。
けれど、わずかな駒の配置のちがいで、仕掛けが成功するか失敗するか。あるいは、敵陣突破となっても、寄せまで持ってゆける道筋があるのか。その結果が将棋では大きく変わります。攻めは意外に繊細です。だから、棋書では相手の駒の配置によって、仕掛けの手順や成否を研究しているのです。その事が最近、私にもだんだんと分かってきました。
私は、受けの棋風が強かったので、攻め将棋にも取り組もうとしてきました。けれど、単に攻めの棋風を強くするという意識だけでは、無理攻めの決行になりがちです。自分から仕掛けるのが、攻めの棋風を強くするということではない。攻めが成功する確率を上げるのが大事であって、攻めっ気だけ増やせばいいわけではない。失敗の可能性が見えている攻め、成功する可能性が低い攻めは、自玉の危険度を上げるだけです。そんな無理攻めをするならば、まだ、自玉をさらに固めた方が負けにくい。
仕掛ける前に、その攻めは成立するのか、しっかり見極める。ここが勝負の分岐点だと意識して、だいたいの読みではなく、時間をかけてでも深く長く、自分に問いかけるように、今は心掛けています。
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