増田康宏『増田康宏の新・将棋観 堅さからバランスへ』

2級への技法

2024年5月の呼んだ本は、増田康宏『増田康宏の新・将棋観 堅さからバランスへ』(マイナビ出版、2018年)です。

私は居飛車で戦いますが、玉の囲いがいまだに固定されていません。もちろん、相手の出方によって変えるのも普通だと思いますが、自分の中でこれが安心という囲いが無いのです。矢倉や穴熊は、トマホークや藤井システムによる角で玉が狙い撃ちされそう。雁木は、相手の棒銀や右四間飛車に苦慮する。左美濃も急所の桂打ちがとても怖い。角交換にも備えなくてはと、なんだかんだバランス型に構えることが多いです。けれどやはり、優れたバランスを保つような棋力が私にはなく、ちょっとしたミスで自玉が決定的に危なくなります。そんな対局の後には、やっぱり堅い囲いの方が良いのかなと、日々悩んでいます。

そんな時に本書が目に留まり読んでみました。バランス型に構えることは、現時点では「新」とタイトル付けるほど新しくないと思いますが、出版当時は新しい将棋観だったのだと思います。

さて内容は、私のような級位者でも読みやすいと思います。具体的な手筋を教えるというより、バランス型に構えることの考え方というか空気感が伝わってくるような書き方です。バランス型には、型が無いけれど、大事な芯がある。それがじんわりと伝わってきます。本書を読むと、ああやっぱりバランス型も優れているのだな、私には性に合っているのかなと再認識します。

ただ、実際に指しこなせるかというと、そうではなさそう。特に、守り・受けの話ではなく、攻め・仕掛けのタイミングがやはり増田先生のようなプロ棋士はまったく違うように感じます。バランス型で守り抜こうではなく、バランス型に構えつつ、どう攻めてゆくか。棋譜解説がいつの間にか切り替わってゆくのです。あるいは、常に攻めることを意識しつつ、バランス型に構えているだけとも言えます。そこのところが私にとっては本当に見習いたいところなのかもしれません。本書を3回4回と繰り返し読んで少しでも体得してみたいと思っています。

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