一歩をケチるな

5級への技法

プロ棋士同士の対戦では、たとえ一歩でも差がついてしまうと、そこから徐々に引き離されてしまうこともあると聞きます。けれど、アマチュア、まして級位者同士の対戦では、歩一枚を取られたからといって、将棋が終わってしまうということは、少なくとも序中盤では、無いように思います。

たとえば、タダで取られそうな歩がある時、その歩を守るために、攻めに使う予定だった銀を引き下げてしまっては、攻めが遅くなってしまうでしょう。そこから防戦一方になってしまう可能性もあります。あるいは、その歩を守るために、玉や金が上ずっては、陣形に隙が生まれたりするでしょう。

局面を良くしようと思って、その歩は進めたはずです。なのに、それが活きなかった。そもそも、そんな位置に歩を進めたのが失敗の元であって、取り繕うとすれば二次被害につながる。だから、一歩は潔く諦める。それくらいの読みと度量は必要だろうなと思います。

また、最序盤で、7六歩は、角道を開けるのに必要な一手。横歩取りの標的にもなってしまいますが、この後しばらく角が使えない対局になるよりはマシな事が多いはず。

あるいは、相手の飛車先を防ぐために、歩を使う。単に打ち付けて防壁とするより、飛車先に二枚三枚と叩いてゆく。相手の飛車はそのたびに動いて、常に先手を取ることができる。歩を使って、手番を握り続ける。

一歩を疎かにするのは決して良いことではありませんが、その一歩のために、その後の将棋が劣勢になってしまっては、より大きな損失です。歩一枚を採るか、形勢や手番を採るか、どちらかと言えば、形勢や手番を優先したい。形勢が良くなれば、使われた歩もきっと満足でしょう。最近いくらかそう考えられるようになりました。

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先手を握り続ける

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