将棋ウォーズで、5級から4級になった頃

5級への技法

最近、将棋ウォーズで5級から4級になった頃を、羽生善治先生の言葉と供に、時々思い出します。

羽生先生曰く、将棋をゴルフになぞらえると、

「将棋はバンカーの多いゲーム」

だそうです(『上達するヒント』まえがきより)。

つまり、相手の棋力が上だから負けるのではなく、自分がヘマをして負けることが少なくない、ということだと私は思いました。この思いは3級になった今現在でも同じです。どんなに優勢でも、たった一手のミスで逆転されてしまうことは多々あります。

将棋ウォーズ5級の頃の私の棋風は、受け将棋でした。専守防衛・じらし作戦というわけではなく、単に自分からどう攻めてよいか分からなかったのです。知っている仕掛けと言えば、棒銀くらい。その棒銀でさえ、ほとんど使った事がありません。ひたすら相手の攻めを受けていました。その間に、相手がなにかミスをしたり、受け凌いで持ち駒が貯まったりして、カウンター勝ちをしていました。得意戦法も無く、決まった囲いも持たず、その時々の状況で、良く言えば臨機応変に、悪く言えば受動的に、戦っていました。というより、守り続けていました。

そういう意味では、将棋ウォーズで4級になるにはどうしたらよいかと言えば、ミスなく無難に受ける精度を上げるだけでもなれる、と言えそうです。棒銀対策と鬼殺し対策をしっかり学べば、他の筋や仕掛けでも対策の応用が効くように思います。5級と4級の差は何かと問われれば、今となっては、受けの強さの差、およびミスの頻度の差だという気もします。

あくまでもこれは私の場合であって、攻めの棋風が好みの人は、攻撃面を伸ばすだけでも十分に昇級できると推測しています。将棋には攻めと受けの両輪がありますが、どちらか一方のレベルが上がれば、ワンクラス上の強さを得られるのではないかと思っています。それに加えて、自ら凡ミスをしないようにすること。これは棋風や戦法・戦型に関わらず共通するポイントだと思います。

5級から4級に上がるまでにかかった期間は、約6カ月です(2023年2月から同年7月)。5級から上がれないという焦りや、4級の壁を感じたかと言えば、毎日ちょっとずつ強くなってゆく感覚もあって、それほどひしひし感じていた記憶はありません。負けては学んで、失敗しては反省して、受け間違っては対策して、技術と知識を少しずつ蓄積する日々。時間がかかった方かもしれませんが、それでも将棋を指せるだけで楽しくてたまりませんでした。当時は、詰将棋を好きになれず、定跡書や戦法書もあまり読んでいませんでした。どちらかと言えば、将棋概論・一般論の棋書の方が好みでした。私の場合、手筋や符号よりも、言葉でコツを示してくれた方が将棋への理解が深まりやすかったです。

自分の中で受けのレベルがぐんと上がったなと思ったのは、町道場で「手抜く」「呼び込みの取り」「駒を足す」の3つの感覚を教えていただいた時でしょうか。相手がなにか仕掛けてきた時に、その駒を取る方がよいのか、取らない方がよいのか。取らないならば、なにか別の受けをするのか。それとも、攻めの手を打つことで逸らすのか。そういう展開の幅が広がったのが大きかったなと思っています。

こういう将棋の感覚や指し手の方針、今の自分に足りない面というのは、ネット対局だけではなかなか気づけないものだと思います。一つ一つの具体的な手筋も大事ですが、自分が化ける可能性があるのは、新たな感覚を得た時だと思います。リアルの感想戦で、上位者や有段者から指摘していただいて、上達が早くなって有難かったです。町道場に通う度に発見があり、3か月後には昇級できたので、自分だけで勉強していた時よりも効率的な方法だったと思います。

【関連】

羽生善治『上達するヒント』

将棋ウォーズで、4級から3級になった頃

2023年8月の棋力:4級

手抜く

差出しの駒、呼び込みの取り

駒を足せ

初段手前の印象

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