形勢の体感と評価値

5級への技法

棋譜解析をしていて最近、不思議に思ったことがあります。

それは、自分の形勢判断では優勢だと思っていたので攻め続けて勝利した、けれど、将棋AIの評価値はむしろその局面では劣勢だった、という事です。そういう勝ち方が少なからずあります。

たとえ本当は評価値的には劣勢でも、自分が良い形勢だと思っていると、攻めの手を中心に考えて、伸び伸び指しているような気がします。萎縮したり諦めたりすることなく、局面に向き合える。それが、たまたまとはいえ、勝利に結びついているのです。級位者同士の対戦では、受け間違いもよくあることなので、積極的な指し手はプラスに働く場合も少なくない。

序中盤で将棋AIの評価値が劣勢だったとしても、マイナス700点ほど。アマチュア同士の対戦であれば、終盤ではたった一手で逆転できる範囲と言えば範囲です。もちろん、できるだけ正しく形勢判断して、受けるべき時はしっかり受ける。けれど、攻めも受けもどちらも有りうる局面ならば、気持ちを積極的にして、まず攻めから考えてみる。

正しくない形勢判断だったかもしれませんが、勝負へ臨む精神の姿勢としては、前向きな方がよいと言えそうです。自分は強い、この人には負けない、今日は調子が良い、といった自己暗示を対局前にする、といった話も時々聞きます。今日も勝てるか不安だな、連敗が続くと嫌だな、最近調子が悪いなと考えるよりは、精神にも思考にもきっとプラスでしょう。自分の頭の中くらいは、マイナスでごちゃごちゃしているより、プラスで満ち満ちているくらいで、ちょうどよいのかもしれません。

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