2023年12月に読んだ本は、あらきっぺ『現代振り飛車の絶望、そして希望』(マイナビ出版、2023年)です。
あらきっぺさんの4作目です。前3作も私は読んでいて、すっかりファンになっています。絶対読みたくなるなあのタイトルに、まずやられてしまい、発売日前に予約して購入しました。装丁も将棋本らしくなく、素敵です。
あらきっぺさんの著作の特徴は、符号をあまり使わないのに、将棋についての根本的な理解が深まる点だと思っています。初心者や級位者でも分かりやすく、それは本書でも同様です。
今回は、対抗型(居飛車対振り飛車)について切り込んでいます。振り飛車が原理的にはいかに不利で欠点があるかを語っていますが、同時に、振り飛車がどうしたら互角以上に戦えるかの指南書としても読めます。居飛車にとっては、振り飛車とどう戦ったら有利かの対策書として読めます。振り飛車党にとっても居飛車党にとっても読みごたえのある内容だと思います。
本書はまた、急戦・持久戦、囲いの特徴、桂香の活用、仕掛けの筋などなど視点も盛り込まれており、タイトル以上のボリューム感があります。繰り返し読むだけで、序中盤にも強くなれそうです。