と金なら渡せる

3級への技法

相手の囲いを崩すとき、相手玉を寄せてゆくときに、と金で攻めるならば、思い切ってぶつけられます。と金が相手に渡っても、相手の持ち駒には歩一枚しか増えないからです。これがどれほど凄いことなのか、最近より深く感じています。

実力が拮抗してくると、お互いに攻め合っていて、どちらが先に詰ませられるかの勝負になることも少なくありません。その時に、いくら相手玉に迫るためとはいえ、もし金銀や桂馬、香車を渡してしまうと、その渡した駒によって、自玉の危険度が大いに増してしまうことがあります。攻めが途切れなければ、つまり詰将棋のように迫ることができれば、どんな駒を渡しても大丈夫でしょうが、そう有利な形勢になっているとは限りません。

速度計算においても、と金以外の駒を渡すとなると、相手玉を寄せる手順と、自玉の安全を読む手順との2つをしっかり読む必要があります。どんな駒なら渡せないのか、渡した場合にどんな局面になってしまうのか。これは持ち時間の消費につながります。けれど、と金であれば、計算不要とまではゆきませんが、いくらか単純になります。歩一枚で詰んでしまうほど、自玉が危ないのであれば、それはもう攻めている時ではない。

ただ、と金なら渡せると言っても、そのと金も安易に失いたくはない。せっかくできたと金という拠点を失ってしまっては、相手の金銀一枚を剥がすくらいでは、意外と割に合わない。と金を作るのがいかに大変か。また、一回だけの攻めならば、次は相手に逆襲に手番を渡してしまう可能性も大いにあるからです。

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