上手は、と金を作る

5級への技法

と金を作る。

将棋において、この一手の大事さがしみじみ分かったのは、私にとって大きな収穫です。

6枚落ちの指導対局

町道場で初めての6枚落ち指導対局。

上手は飛角桂香がないのだから、歩金銀を押し上げて来るしかない。

歩と歩がぶつかれば、まずは獲る。そんなに間違っていないはず。

けれど、上手は、こちらの歩をとらない。

う、なんか嫌な気配。

それでも、まだしばらく放っておいて大丈夫かな、自陣には金銀いるし。1筋2筋を攻め立てるか。

上手の金銀は、ひたひたと迫ってくる。

そしてタイミングをはかって、歩を打ってくる(垂れ歩)。

その筋では自分の歩が生きているから、新たに歩を打って守りにつけない(二歩になってしまう)。

あれよあれよと、上手の歩は、と金になる。

相手のと金をとっても、ただの歩。置けるところはなく、単なる手駒になる。

相手は金銀の駒得。それをすかさず投げ込んでくる。

互いの金銀がぶつかりあって、力戦模様。

いつの間にか自陣に危機が迫る。

そして崩壊。

上手はとにかく、と金

その後の指導対局でも、上手はとにかく、と金。

と金を作る、と金で迫る、と金を拠点にする。

2個目、3個目のと金は、あまり作ってこない。中盤・終盤に入ってくれば、早さを重視しているからか。と金1個あれば、金銀からめて、こちらをひねりつぶしてくる。

駒落ちは、端が弱いというが、上手にすれば、1筋2筋は、と金を作りやすい場所となっている。こちらの歩飛香は出払っていることが多いから。

歩と歩がぶつかりあっても、うかつには取れない。変に警戒してしまう。でも取らなかったばっかりに、それが傷になる。

相手の歩を、歩のうちに刈り取ろうとすれば、こちらの金銀が上ずる。駒の連結が乱れる。上手は、その隙に新たな歩を打ってくる。と金ができる。

いや、まいった。

評価値プラス500点

ある時、アプリで棋譜を解析していたら、と金を作ったらプラス500点ほどされていた。だいぶ優勢だ。たしかに好手だと自分でも思うけれど、なにかの間違えかなとずっと思っていた。

プロの対局の解説で「と金を作ったのが大きいですね」というのは、しばしば耳にしていた。そうでもないんじゃない、と金は1マスずつしか進めないし、と聞き流していた。

けれど、と金の恐ろしさがわかると、その評価にうなずける。

と金を作ると、棋譜解析でプラス200点、300点されているのは普通だった。

巧い人の寄せは、必ずと金をからめて来る。大駒・中駒を放り込む前に、まず歩の手筋、と金の手筋で来る。

遅いようで、早い、確実、それがと金。

【関連】

歩を叩く筋がないか

さりげなく歩を突き捨てておく

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