と金を作る。
将棋において、この一手の大事さがしみじみ分かったのは、私にとって大きな収穫です。
6枚落ちの指導対局
町道場で初めての6枚落ち指導対局。
上手は飛角桂香がないのだから、歩金銀を押し上げて来るしかない。
歩と歩がぶつかれば、まずは獲る。そんなに間違っていないはず。
けれど、上手は、こちらの歩をとらない。
う、なんか嫌な気配。
それでも、まだしばらく放っておいて大丈夫かな、自陣には金銀いるし。1筋2筋を攻め立てるか。
上手の金銀は、ひたひたと迫ってくる。
そしてタイミングをはかって、歩を打ってくる(垂れ歩)。
その筋では自分の歩が生きているから、新たに歩を打って守りにつけない(二歩になってしまう)。
あれよあれよと、上手の歩は、と金になる。
相手のと金をとっても、ただの歩。置けるところはなく、単なる手駒になる。
相手は金銀の駒得。それをすかさず投げ込んでくる。
互いの金銀がぶつかりあって、力戦模様。
いつの間にか自陣に危機が迫る。
そして崩壊。
上手はとにかく、と金
その後の指導対局でも、上手はとにかく、と金。
と金を作る、と金で迫る、と金を拠点にする。
2個目、3個目のと金は、あまり作ってこない。中盤・終盤に入ってくれば、早さを重視しているからか。と金1個あれば、金銀からめて、こちらをひねりつぶしてくる。
駒落ちは、端が弱いというが、上手にすれば、1筋2筋は、と金を作りやすい場所となっている。こちらの歩飛香は出払っていることが多いから。
歩と歩がぶつかりあっても、うかつには取れない。変に警戒してしまう。でも取らなかったばっかりに、それが傷になる。
相手の歩を、歩のうちに刈り取ろうとすれば、こちらの金銀が上ずる。駒の連結が乱れる。上手は、その隙に新たな歩を打ってくる。と金ができる。
いや、まいった。
評価値プラス500点
ある時、アプリで棋譜を解析していたら、と金を作ったらプラス500点ほどされていた。だいぶ優勢だ。たしかに好手だと自分でも思うけれど、なにかの間違えかなとずっと思っていた。
プロの対局の解説で「と金を作ったのが大きいですね」というのは、しばしば耳にしていた。そうでもないんじゃない、と金は1マスずつしか進めないし、と聞き流していた。
けれど、と金の恐ろしさがわかると、その評価にうなずける。
と金を作ると、棋譜解析でプラス200点、300点されているのは普通だった。
巧い人の寄せは、必ずと金をからめて来る。大駒・中駒を放り込む前に、まず歩の手筋、と金の手筋で来る。
遅いようで、早い、確実、それがと金。
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