2023年12月に読んだ本は、藤井猛『藤井猛の攻めの基本戦略』(NHK出版、2014年)です。
NHKの将棋講座の内容に加筆して書かれたものだそうです。私は、数カ月前から攻めの棋風を強くしたいと思い始め、攻めの基本中の基本から学びたいと読み始めました。
本書は、将棋の超々初心者が読んでも分かる攻撃方法から解説しています。それくらいは知っているよと読み飛ばせなくはないのですが、筆致というより語り口がなんとも言えない親しみやすさで、とんとん読み進めてしまいます。そして丁寧に順を追って攻め方がステップアップしてゆきます。駒の基本的な動き方と特性、それを活かした小技・中技、そして飛角をからめた大技。各章読み終わるころには、強力で汎用性の高い攻め方がきちんと身につくようになっています。この本で、初心者の頃からしっかり攻めの基本を学べたら、すぐに強くなれるだろうなと思えます。上級者や有段者にとっても、攻めの基本理論から学び直し、応用もできる手筋が盛り込まれていると思います。
藤井先生は、藤井システムを開発した天才、振り飛車党の総帥、竜王3連覇の名棋士といった話が、私の耳には最初に入ってきていて、ものすごく怖い先生なのかなというイメージが独り歩きしていました。ですがその後、対局や解説等でお見かけする先生は、控えめで静かで優しい雰囲気でした。そのお人柄が本書にも現れているのかなと思います。いろいろな読者を想定して、かつ、皆が楽しめて強くなれる。そんな素晴らしい構成の本でした。