2025年9月に読了した将棋本は、中原誠『自然流 会心の一局』(日本将棋連盟、1998年)です。
ここのところ名局集・勝局集を読みたい思いがあって、手に入れた一冊です。中原永世十段の自戦記8局が収録されています。
中原先生と言えば、自然流。無理のない自然な手を積み重ねることで、いつの間にか、優位になっている。そんな印象があります。無理攻めしがちな私にとって、良い模範となるような棋譜がおさめられていることを期待していました。
けれど本書の中の棋譜は、快勝したというより、劣勢な局面から逆転をもぎとった。あるいは、危ういバランスながらも、強気に指して勝利をつかんだ、といった棋譜です。そういえば、中原先生の棋譜には、一度決めた方針を貫くところ、分かりやすく言えば頑固なところもあると聞いたことがあります。本書の棋譜は、そういった面が強く出ているのかなという印象です。いわゆる力戦系が多いと思います。
トッププロとの対局集とあって、本書の棋譜は、級位者の私には難解でした。中原先生の会心譜ですが、自然流で人々がイメージする棋譜ではないかもしれません。ものすごく唸るような手も入っていると思うのですが、今の私にはその真価も見えません。少し背伸びをし過ぎたようです。
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