一間龍の恐ろしさ

初段への技法

町道場で高段者の上手の多くが「龍の力は絶大だから」「龍を作れば、ほぼほぼ勝ちだから」「相手に龍を作られたらまずいよね」と口癖のように言います。

飛車が龍王になれれば、それは強いよね、弱点の小鬢も無くなるし、くらいにしか当時の私は感じていませんでした。高段者ともなれば、歩や桂香も巧く使いこなし、そんなに龍を重要視するなんて不思議だなと思っていました。

当時の私は、受け将棋の傾向が強く、自分の方が龍を作れるなんて稀。相手に龍を作られることはもちろんあり、そういう時はだいたい負けていますが、それ以前で大きく崩れていて、龍がどうこうはもう後の祭りの事柄です。反省すべきはその前の局面だったので、龍の本当の恐ろしさを知らずに過ごしてきたと言えます。

最近の私は、攻めの棋風を強化してきて、龍を作る機会も増えてきました。そして次に、一間龍の形を目指します。だいたいこの形に持ち込めれば勝ち。

単なる龍の横効きでも相当強いですが、それなら飛車でも同じ。龍となって、八方に効きが及ぶ姿で、相手玉に滲み寄ることで、全く違う景色になります。遠くから大砲で狙っていたのが、相手の間合いに入って両手で大剣を振りかざしているイメージに近い。相手がどんなに金銀で防いでこようが、ちょっとした手筋でいずれその守備駒もぼろぼろと奪える。相手の玉は敗走するばかり。一間龍の形さえ作れば、終盤力が弱い私でも深く考えることなく、相手玉を追い詰めることができます。こんなに簡単でいいのかと思うほど、あっけない。暴力的といってもいい形です。

なぜに高段者の上手が、あれほど龍を評価していたのか、ようやく分かってきた最近の私です。

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