噛みつき

1級への技法

自分の中で、最近定着してきた将棋用語は「噛みつき」です。

「楔を打ち込む」や「拠点ができる」「敵陣突破」といった概念とは、またちがったものだと分かるようになってきました。

相手玉に迫っている。相手玉の周りに、こちらの竜や馬、金銀やと金、あるいは紐づけられた駒が居座る。まだ詰みは無いとしても、このまま押し切れれば、寄りの形まで見えている。

相手玉には有効な逃げ道が無い。あるいは、玉の早逃げで手数を稼げると分かっていても、玉を逃げれば、周りの金銀がタダで取られるのも分かっている。逃げるに逃げられない。

ならばと、相手が駒を足して補強してきたら、こちらも駒を足せばよい。もし駒を取られても、と金や成駒を作れて、噛みつきは続く。相手はこちらの駒を取るに取れない。

今、自分が相手玉に噛みついているなと思ったら、とにかく喰らい付いて離さない。たとえ竜や馬だろうが、逃げることは考えない。竜や馬より、噛みつきが続くためならば、他のどんな駒でも、たとえ歩一枚でも価値が高い状況になっている。そんなチャンスは、いまこの時しかない。終盤も終盤、最終盤。

噛みつきをこちらから迂闊に精算する必要はない。喰らいつきを維持しながら、じわっと挟撃態勢を推し進めるのも手段。

相手は耐えきれなくなって、どこかで駒の取り合いが始まるか、玉の逃走が始まる。いずれにしても、その後、戦場に現れるのは、極めて危険な状態の相手玉。

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