西山朋佳 『実戦で学ぶ 振り飛車の勝ち方』

13級への技法

2024年6月に読んでいる棋書は、西山朋佳 『実戦で学ぶ 振り飛車の勝ち方』(マイナビ出版、2022年)です。

初心者の頃に一度読了していますが、再読です。

本書は、私が一番最初に購入した棋書と言えるかもしれません。まえがきに「この本はAIの評価値の高い手を羅列した、というものではありません。あくまで私の目から見た『人間的な勝ちやすさ』を重視しています」とあり、それに惹かれて手に取りました。初心者の私では、いわゆる研究書や定跡本は読めないだろうな。符号がいっぱい出てきても困るな。でも、具体的な手筋ではなく、なにか言葉で分かりやすく将棋を学べないかなと探していて出会いました。振り飛車向けですが、居飛車党が読んでも十分だと思います。

内容はたしかに、初心者の私でもさらさらと読めたと思います。ただ時間が経ってしまって、強く記憶に残っていることは、たった1つだけ。振り飛車が、金を2八や3ハに上がってきたら、要注意。美濃囲いに比べて玉の堅さは劣るが、居飛車は簡単には敵陣突破できない、というものです。本書のあちこちに出てきています。私にとって振り飛車を相手にする時の指標の1つにずっとなっています。

さて、本書を再読してみると、とにかく符号が少なく、分かりやすい。それでいて、将棋の大事な勝負勘、急所を言葉で表現してくれています。初心者でも楽しみながら読める棋書は少ないように思いますので、本書のような構成は貴重だと思います。

もちろん上級者にも参考になる点は多いと思います。私にとっては、西山先生は互いの布陣をよく見ている。そこが改めて読んでみると感心です。相手は何を狙っているのか、自陣と比べて堅さはどうか、どこかに隙がないか。そして、自分は理想的な構えにできているか、どこから攻めるのが効果的か等々。それが一瞬で的確に分かることを感覚と呼ぶのかもしれませんが、私には観察眼が鋭いという風に見えます。本書を読み深めて、少しでも見習えればと思います。

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