私は最近の対局で、中盤以降、これは壮大な詰将棋を解いているのだと思って、将棋を指すようにしています。
というのも、対局した棋譜をAI解析してみたところ、十数手の詰み、二十数手の詰みというのがざらにあることに気づいたからでした。中盤以降、竜や馬ができたり、桂馬で王手をかけることができると、そこからそう遠くないうちに詰みを迎えることができるのです。一見すると、まだまだ終局までかかりそうに見えても、意外とあっさり詰み筋に入るということさえありました。
そういう心積もりで局面を見てみると、少なくとも、今この瞬間の一手が大事に思えてきます。この次の一手で詰めろの過程が始まってしまうのです。だから、よく分からないからとりあえず端歩でも突いておくかといった手は、もちろん選べません。千日手覚悟で手待ちをするつもりでも、その一瞬の隙をついて、相手からの詰め手順が発生してしまうかもしれません。厳しくはないけれど、損の無い攻め手を指せば、相手の方が一手速く詰ましに来るかもしれません。
そして、もしここから寄せが始まるとすればという思考法を採ると、以前よりも効果的な攻めを打ち出せるようになった気がしています。単に竜を作ろうとか、駒得をしようとかではなく、その先も見据えて、相手玉にどう迫るのかを考えるからです。攻めの指針がしっかりして来る、大局観をもって臨むとも言えるかもしれません。
相手玉に迫る一手はなにか。それは単なる歩突きかもしれません。それでも真に厳しい一手であれば、竜を作るのに等しい一手です。それをとりわけ中盤以降、より精確に見極められるようになりたいと思っています。
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