穴熊と攻めの速さ

1級への技法

私は以前、自陣をバランス型に構えることが多かったのですが、最近は、堅い囲いの方が好みになってきました。

それならば、やはりいよいよ穴熊か、と渋々取り組むことにしました。

実は穴熊、私にとって鬼門。

穴熊に組む前に、半端な陣形を急戦で攻めつぶされるという経験を初級者の頃に何回もしています。そこからずっと、穴熊は封印してきました。

恐る恐る試してみると、今は、無事になんとか穴熊に組めました。序盤で守備の駒組みを早めたり、持久戦にもちこむ工夫をしたりと、勉強した成果かもしれません。銀冠穴熊、四枚穴熊に組めることもあります。ここまでは一安心。

ただ、なぜか、負ける。

おそらく20回以上、穴熊に組んでいるはずなのに、勝利した記憶はたった2局だけ。勝率ナンバーワンとか、穴熊は安全に勝てるとか聞きますが、私の場合、一番負けやすい。いったい何なのでしょう。

理由の1つ目は、穴熊はやはり隙が多いと言えば多い。相手の大駒が簡単に成り込んで来たり、と金を作られたりしやすい。相手の重厚な攻めを覚悟しなければなりません。

理由の2つ目は、そうであればこそ、先に相手玉を詰める力が必要です。つまり速く厳しい攻めを展開できるかが求められます。もし同じスピードで寄せ合いになれば、堅い穴熊の方が勝ちやすい。そういう志向なのだと思います。

ただ、私には、その攻撃力や終盤力が根本的に足りない。どんなにこちらの陣形の方が堅くても、相手の攻めのスピードがそれを上回れば、負けてしまう。総じて、今の私の課題、攻め合いになったら勝ち目がない、それが穴熊にも当てはまっているのだと思います。普通は逆ですけれど。攻め合いになったら、穴熊の方が勝ちやすい。

穴熊にさえ組めば、勝利が転がり込んでくるわけではない。穴熊だからといって、悠長な攻めは許されない。穴熊だからこそ、攻めにはより一層の速さが必要だ。

私の中で、またしばらくの間、穴熊は封印です。

【関連】

穴熊に組めない

増田康宏『堅陣で圧勝! 対振り銀冠穴熊』

増田康宏『増田康宏の新・将棋観 堅さからバランスへ』

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