角換わりか、それ以外か

中盤

私にとって角換わりは、序盤はいつも同じ進行で、その後も手詰まり感のある将棋でした。事前の研究勝負になりがちで、将棋AIによれば先手有利という結論に辿りつつあるらしいとも聞きます。どうしても避けたい戦型ではありませんが、好んで組みたい戦い方ではありませんでした。

それが最近、角換わりの将棋に、俄然興味が湧きました。

永瀬拓矢(現九段)が、とあるインタビューで、角換わりについて表現した言葉にふれたからです。

永瀬先生曰く、

「角換わり以外の将棋は木刀なんですね。私の印象は。角換わりは真剣、日本刀とか。そのぐらい違う印象で。」

「木刀だと、一撃では多分勝負は決まらないんですが、角換わりだと一撃で決まってしまうんですね。」

角換わりは真剣、それ以外は木刀。個人的には、今年一番のフレーズに挙げたいくらい。

言葉の意味を普通に解せば、飛車に次いで強力な攻め駒である角を手持ちにする将棋は、一気に終盤戦に突入する可能性があるということ。少しでも隙を見せた方が、詰みまでもっていかれてしまう可能性があるということ。言われてみれば、納得のたとえです。

大筋は外れていないような気がしますが、もう少し深い意味、ちがったニュアンスもあるような気がしますが、今の私にはよく分かりません。

そして思えば、角換わりをした後の駒組みで、その先を追及して勉強したことがあっただろうか。いや、無い。局面がいずれ手詰まりになって、その場その場で考え対局していた。先後同型に近くなれば、下手に動いた方が負けと、千日手でいいと対局していた。角換わりの問題集を解いたことはあっても、そんなに巧く技はかからないと、本気で取り組んでみたことはない。わずかでもリードを得るために、どの駒をどの手順で動かすか、考えてみたことなどもちろん無い。

そうか、私には真剣みが欠けていた。角換わりの将棋で勝ってやろうという意気込みが欠けていた。先手有利の結論が出つつある角換わりなら、なおさら事前にきちんと勉強しておかないと負けを意味する。

そんな反省とともに、今、角換わりへの興味が湧いています。

【出典】

永瀬先生の発言は、NHK「ETV特集 藤井聡太と羽生善治 対談 一手先の世界へ」(2025年11月29日放送)より

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