特定の戦法に捉われず、また、相手の戦型との相性にかかわらず、勝利した対局に共通する要素はあるだろうかと、初心者の頃から考えてきました。平たく言えば、勝ちやすい攻めのパターンはあるものだろうか、という問いです。ただし、簡単に勝てるという意味合いではなく、この型にもちこめれば勝率が高いという意味合いです。
勝利した対局を数十局と見直すと、私の場合、だいたい次の4つに絞られてきました。それは「竜の横効き」「玉頭殺到」「角の王手睨み」「端攻め」です。
一番多いのは「竜の横効き」を活かして勝利する対局でした。ただし自分だけが一方的に竜を作った場合に限ります。互いにほぼ同時に竜を作り合っていると、どちらが速いかの攻め合いになり、私の場合、勝率は五分五分以下になります。無理繰り竜を作ろうとすると、大きな駒損になり、逆転をくらっている対局も少なくありません。もちろん自分だけ竜を作れる対局など、簡単には成立しません。竜を作った後は豪快な攻めが可能ですが、それ以前は、慎重な駒運びで相手戦力を封じ込め、守備駒を徐々に削る作業が必要です。前段階が難解なので、勝ちやすいパターンかと言うとそうでない気もしますが、このパターンに持ち込めれば勝率が高いというのは常に意識したいところ。当たり前と言えば、当たり前の結論の1つです。
次に勝利しやすいパターンは「玉頭殺到」です。相手の玉頭めがけて、駒たちを進めてゆきます。意外にも飛車や角はまったくかかわることなく、歩・銀・桂馬だけでも成り立ち得る攻め方だなと感じています。相手陣が手堅く、飛車先の突破が難しければ、早めに玉頭殺到に切り替えるのもありです。場合によっては、相手にこちらの飛車や角を取らせている間に、他の駒たちを進めて行きます。大駒を奪取できるとなると、相手の方もついつい油断して、こちらの進軍を許すことが少なくないと感じます。相手が気づいた時には、4段目、3段目にこちらの攻めの拠点ができていて、あとはひたすらそこに駒をぶちこんでゆくだけ。相手陣内の金銀を剥がしつつ、持ち駒が増え、相手玉を追い詰めてゆきます。ぬかっていけないのは、相手玉にするりと上部脱出をされること。逃げ出した相手玉をつかまえようにも、竜や馬が攻めにからんでいないことも多く、追うのがたいへんです。
三番目に勝ちやすいのは「角の王手睨み」です。角で王手をかけ、相手が玉をかわすのではなく、何かの駒を盾にしてきたら勝ちパターン。その盾となっている駒の前に、こちらの歩をぶつけるだけで十分。相手の盾駒は逃げることができませんから取られるだけ。ひたすらこれを繰り返し、相手陣を削ってゆきます。出現率は低いですが、もっとも安全に勝ちやすい戦い方だなと感じています。竜の横効きや玉頭殺到は、縦か横かのちがいはあれ、直線的な攻撃です。盾となる駒で威力を半減させられてしまうこともありますが、角の斜め睨みはかなり受けづらい。この攻めを警戒して、上級者・有段者になると、序中盤では相手の角のラインに玉を入れるのは基本的に避けてきます。中盤以降、もし相手に隙あって角で王手をかけられるならば是が非でも掛けてみたいものです。あるいは、相手玉の小鬢を小技で開けて、角の王手を選択肢に入れることです。
そして四番目に視野に入れておきたのは「端攻め」です。特に相手の金銀が強固に密集している時は、その反対側すなわち端から攻めてみたい。相手陣の固い所を正面突破するには、それなりの戦力が必要です。削ってゆく間に、相手に駒が渡ることも多く、逆転の芽を生じさせることなく、一気呵成に確実に仕留めなければなりません。そんな手間やリスクを背負うよりは、端攻めの方が容易いという局面もままあります。端攻めは慣れていないと、どこからどう手をつけてよいか悩みますが、感覚を一度身に着けてしまえば竜や馬を活用した攻めにも匹敵する戦い方です。特に、歩・香車・桂馬といった小駒しか持ち合わせていない時は「端攻め」を視野に入れたい。
攻めの王道は、やはり飛車の成りこみです。まずはそれを軸に最初の攻めを組み立てます。あれにしようかこれにしようか序盤から考えながらでは、指し手がふらふらしてしまいます。けれど、戦いの中で、相手の出方や陣形によっては、他の攻め口に変えてみる。その時に他の3つのどれが速く有用かをきちんと組み立ててから、攻めの方針を変える。
最近、そんな大きな攻めパターンを意識しながら戦っています。
