と金は、1つで十分

5級への技法

私が将棋の超初心者だった頃の対局で思い出深いのは、と金を5つも作ったのに逆転負けしたことです。

こちらが敵陣を突破し、優勢となりました。けれど、相手が矢倉模様でがちがちに固めていました。相手の金銀にこちらの金銀をぶつけても、取って取り合って、すぐに囲いを再生されてしまうので、どうやって崩してよいのか分かりませんでした。そこで、と金を量産して攻めるしかないと思いました。ぶつけたと金が取られても大丈夫なように、その後ろに、と金を配置。その先も連続して攻撃できるように、さらに、と金を複数備えておく。そう計画して、まずはと金を5つ作りました。

こちらの動きを見て、相手も覚悟を決めたのか、開き直って全軍が前進。あれよあれよと、今度はこちらが攻められてしまい、負けました。

と金で攻めること自体は、間違った発想ではなかったはずです。ただ、と金を複数作ってまで攻めることが、悠長過ぎる。相手に金銀1枚たりとも渡してなるものか、という姿勢が慎重過ぎる。絶対安全に勝とうだなんて、臆病過ぎる。

と金を1枚作れると、その付近ではさらにと金を作ることができます。仮に、と金をもう1枚作ろうとすると、まず出来上がったと金をずらす。持ち駒の歩を盤上に打つ。次に歩を進めて、と金に成る。最低でも3手かかります。その間に、既にできあがったと金は、3マスひたひたと迫って行ける。相手玉から少し離れていても3手あれば有用な距離感になる。それこそが相手にとって十分な脅威になる。

そして、と金で相手の金銀を1枚剥がせれば、相手の防御力はたいてい半減します。次に、奪った金銀を投入して、さらに相手を攻め続ける。そうすれば寄せにかなり近づく。

と金が1枚作れたら、そのと金を使ってまず攻める。この姿勢が大事だということを今はいくらか分かってきました。

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