村山慈明『村山慈明の居飛車対振り飛車 知って得する序盤術』

5級への技法

2023年11月に読んだ本は、村山慈明『村山慈明の居飛車対振り飛車 知って得する序盤術』(NHK出版、2017年)です。

本書は、NHKの『将棋講座』テキストを基に単行本化されたものです。NHK出版の将棋本は、初級者・級位者向けのものが多い印象です。流行に左右されない、基本のキを教えてくれる、とても分かりやすい棋書が多いのですが、残念ながら、最近はあまり出版されず、過去の本も品切れ・絶版が多いです。本書も今ではなかなか手に入りにくいかもしれません。

さて、当たり前ですが、将棋の序盤を強化したくて、本書を読みました。

私の棋力では、序盤早々で失敗した、局面を悪くしてしまってつまらない将棋になってしまった、ということも少なくありません。なんとか形勢互角のまま中盤を迎えたいという思いが今は強いです。中盤の戦いの中で、相手にリードを許してしまい負けてしまうのは、いくらか戦いきった感があります。ですが、序盤早々での脱落は悔しいです。

本書は、居飛車側が振り飛車に対して、序盤をどう指し進めてゆくかを丁寧に丁寧に書いてあります。いわゆる定跡書の類に属するとは思うのですが、本当に丁寧なんです。

1ページに進むのはせいぜい5手くらいまでです。よくある定跡書の半分くらいの印象です。だから、定跡にも分岐点は多いものですが、混乱せずに本書は読める。

1手で丸々1ページをさいて解説する場合も少なくありません。

単に符号が書いてあるだけでなく、その手の水面下での狙いや効果を、やさしい言葉で書いてくれています。感覚や方向感といった曖昧だけれど級位者にとっては分かりやすい表現もしてくれています。

村山先生が初級者・級位者に寄り添って書いてくれている感じが本書にはします。

タイトルとURLをコピーしました