斎藤慎太郎『最強最速の将棋』

1級への技法

2025年9月に読んでいる将棋の本は、斎藤慎太郎『最強最速の将棋』(株式会社マイナビ、2013年)です。

勝局集・名局集を読みたいと思っての3冊目です。斎藤先生は、私が初めて読んだ戦法書の著者で思い入れがあり、本書を選びました。斎藤先生(現八段)が新四段になったばかり、C級2組の6つの自戦記が収められています。

本書を読むと、たった今対局が行われていて、大盤解説が行われているかのような印象です。臨場感がありつつ、分かりやすい。

序盤、中盤、終盤、それぞれでポイントとなる局面を丁寧に解説してくれています。自分は何を狙っているのか。相手の思惑は何か。定跡の進行は何か。複数の選択肢がある中でどれがよいか。踏み込んだ手、迷いながら選んだ手、確信をもって指してみた手。分岐も複数紹介されていますが、それでいて混乱しにくい。

斎藤先生の棋風は、攻めでもなく受けでもなく、バランスの良いタイプだと聞いたことがあります。ただ、本書を読むと、斎藤先生の読み筋の中では、かなり思い切った手、大胆に切り込む手も考えているのだなというのが、私にとっては面白かったです。実戦では必ずしも採用しないけれど、プロ棋士も過激な手を一応考慮しているのだなと。下手な無理攻めをしがちな私にとって、その鋭い読み筋と自重するバランス力とはぜひ見習いたいなと思いました。

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