5五の位を取れるものなら取りたい、と最近の対局では思っています。
初級者の頃、現代の将棋では5五の位を取ることをあまり重視していない、といった話題を読んだ覚えがあります。昭和の時代だったら5五の位を譲るなら破門だ、と言われたけれど、最近の研究では5五の位に絶対の固執はしないらしい。
実際、5五の位を歩でおさえることは、できなくはない。そして、その位を維持するために銀で支えることが多い。ただ、銀がその場に張り付いてしまい、歩も進められず、膠着状態になってしまう。何のために位をおさえたのかよく分からない。私は居飛車で戦うので、飛車と銀との連動も叶わない。これだったら棒銀で銀をどんどん進ませて行った方が良い、と私は思うようになりました。
けれど最近では、5五の位を取る効果が少しずつ見えてきました。
まず、相手の角の威力が半減する感覚があります。角にはいくつか好ポジションがありますが、そのいずれでも角筋は結局5五を通る。5五さえおさえてしまえば、相手の角はどこに移ろうが威力を発揮できない。高段者になってくると、序盤から角を巧みに活用してくる印象がありますが、それを未然に防ぐことができる。
5五を駒で塞いでしまうと、こちらの角筋も止まりますが、それは敢えて蓋をしているだけ。歩損くらいなら承知で、自分の好きな時に角道を通すことはできる。攻めのタイミングの選択権を持っている状態と言えます。中盤まではじっくり駒組みを進めて、いざ開戦を迎えたいという持久戦派の私にとっては好都合です。
また、5五の位を取ったら、最終的には5三の地点に、と金を作ることを目指すのがよい。それが最近の私には見えて来ました。
まず五段目の制空権を抑える。次に4筋、6筋も絡めて仕掛けてみる。上手く運べば、四段目に拠点を作ることができる。そこまで進めば、三段目にと金を作ることが視野に入る。
5五の位を維持するために、銀や角は前進できず、困るじゃないかと以前は思っていましたが、最近ではその事を気にしなくなりました。位を抑えているだけでいい。ジタバタする必要はない。無理繰り推し進める必要はない。それだけで相手の方が無言の圧力を感じ、打開しようと駒をぶつけて来ることも多い。そうなったら駒交換に応じる。四段目、三段目にぶちこむ戦力を得ることができる。5五の位は役目を終える。次のフェーズ、相手陣への侵攻に移ることになる。
